小学生のとき、誕生日に祖父が人気のRPGのゲームソフトを買ってくれた。
当時はかなり話題のゲームで売り切れが続出し、買おうとしてもなかなか買えなかった。
学校では、落ちこぼれでいじめられっ子だった僕が、こんなすごいゲームを手にしたことは嬉しさとともに一種の優越感を感じていた。
学校の友達が何人も僕の部屋で、そのゲームをして楽しんでいた。
「やっぱすげーな!」
友達もプレイしながら喜んでいた。
そんなある日。
なかなかクリアできなかったダンジョンがあったが、攻略本を頼りにクリアできる見通しが立った。
僕は、学校でそのことをよく考えずに友達に話してしまった。
すると友達の1人が
「今日、遊ぼうよ。」
と言い、僕も何の疑いもなくOKしてしまった。
来たのは1人だけで、シュウ(仮名)という小柄だがずる賢いタイプの子だった。
放課後、僕の部屋でそのゲームを進めていた。
初めは僕のデータをある程度進めたらシュウに代わるつもりだったが、僕が進めているとシュウが
「ねぇ、俺にもやらせろよ!」と言い、当時気弱だった僕はシュウに代わった。
そのあとはシュウのデータを進めていくことになったが、僕の進んだところまでではなくさらに先のダンジョンまで進めていた。
「そろそろ代わってよ。」と言っても
「あと少しだけ。」とか
「○○を取るところまではやらせてよ!」とかで延々と代わってくれなかった。
終いには「お前、いつでもできるだろ?」と当たり前のように言われたり。
当時は、ゲームは親から許可された時間しかできず、そうそう進められるものではないことはシュウも知っているはずなのに。
結局シュウがダンジョンを2つ分くらい進めてしまい、ゲームを進める楽しみをネタバレという形でシュウに奪われてしまった。
このことは、あとでゲームを進めても取り返せる訳ではない。
悔しい思いをしたが、当時気弱で発言力の弱かった僕は泣き寝入りするしかなかった。
・・・
それから23年後。
ずっと地元で過ごしてきた僕は32才になり、同じ県内の人と結婚し実家から遠くない場所のマンションに住んでいた。
家庭を持ち新居に引っ越したものの、地元であることに変わりはないので小・中学校時代の同級生に近所で出会うことも多い。
ある休日、道端であのシュウと出会った。
「おう、久しぶり。」
シュウと歩きながら話す僕。
シュウも家庭を持っていて息子がいることは前から聞いていた。
最近になって僕が結婚したことはシュウも知っていて、
「今からお前んち、行ってもいいだろ?」
シュウは不敵に笑い、僕は相変わらず断りきれずにシュウをマンションに入れた。
僕の妻はシュウとは面識がなかったが、温かく迎えてくれた。
テーブルで談笑する僕たちだが、そのときは不穏な様子もなかった。
妻がキッチンに何かを取りに行き席を外すと、シュウは俺の耳元で
「お前の嫁さん、美人じゃんかよ?」
僕は驚き
「だから?」
「だからってほどじゃねーけど、ちょっと2人っきりで話してもいいか?」
やはり僕は強く言い返すことはできなかったが、シュウを睨むように見たせいか
「冗談だよ。気にすんな!」
シュウは俺の肩をポンポンと叩いた。
・・
数日後。
仕事がたまたま早く終わり、日頃の残業もあって定時より早く帰れることになった。
妻には特に何も伝えずマンションの部屋に戻ると、何やらおかしい。

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玄関に知らない男の靴があるし。
僕はこっそりと中に入ると、夫婦の寝室の扉が閉まっていて怪しい音や雰囲気がする。
僕は端っこからこっそり覗いてみると、
「あっ、あっ・・」
「あっん!あっあん!!」
妻が違う男とベッドで抱き合っていた。
しかもその男は、シュウだった。
「どうだ?気持ちいいか?○○!」
僕の妻を呼び捨てで呼ぶシュウ。
「すごくいい!」
「◻︎◻︎(俺)より、俺の方がいいに決まってるだろ!」
シュウは仰向けの妻の乳房を両手で掴んでいた。
シーツの下半身も激しく動き、僕の妻がシュウに穢されていた。
「◻︎◻︎とは、いつでもできるもんな。」
シュウのその台詞、そしてシュウの傲慢でずる賢い態度はあのときとちっとも変わっていなかった。
シュウと僕の妻はその後も淫らな声を出しながらまぐわっていた。
-END-
『明後日のはじまり(38歳・♂)』さんからの投稿です
ありがとうございます。
狡賢い一言が生きていてとても面白い(寝取られは可哀想としか言えないけど、)
でも、盗み喰いは美味しいよね
(訂正)
「◻︎◻︎(俺)より、俺の方がいいに決まってるだろ!」
シュウは仰向けの妻の乳房を両手で掴んでいた。
↑
「◻︎◻︎(俺)」は「◻︎◻︎(僕)」の間違いです。
主人公(僕)視点の一人称なので「僕」です。
●古井戸さん
コメントありがとうございます。
自分の過去の自慢話よりも、失敗談や寝取られ話の方が人気あるようですね。
それを見込んで書いてみました。